悪魔との生活が始まった

 とはいえには翼もなければ悪魔の力もない

 ただ多少の違いはあった


 「ロンー。」


 むぎゅっ

 はロンを見るなり後ろから抱きついた


 「お、おはよ///」

 「おはよ。ふふ、また赤くなってる。」


 はロンのほっぺにそっと触ってから隣の席に座った

 ロンはこれが悪魔なりの挨拶なんだと思いながらもなれないことに赤面する

 今は怖いという感情はなかった




 「ご飯もう食べた?」

 「うん、は食べないの?」

 「うーん、あたしは食べなくても平気だから。」

 「でも食べれるんだろ?食べてみなよ。」


 は一瞬不思議そうにロンの顔を覗き込んだ


 「口に合わなかったら罰ゲームね。」


 はクスクス笑いながら目の前のマフィンを口に入れた


 「おいしー!これすっごく好き!!」


 は自分のほっぺたを手で押さえ幸せそうに微笑んだ

 それはまるで宝物を見つけた子供のような・・・





 「見ろよフレッド、がマフィンに感動してるぜ。」

 「あぁ、こんな些細なことに感動するはなんて可愛いんだ。」


 フレッドとジョージの声が聞こえははっと振り向いた


 「おはよう、お二人さん。」

 「「やぁ、。」」


 二人は同時に挨拶した

 そしてロンを退かせの両脇に座った


 「の国にはマフィンはなかったのかい?」

 「うん、初めて食べたわ。あんまりこういうものなかったから。」

 「それなら今度俺たちと一緒に・・・」


 フレッドとジョージが同時にの肩をくもうとした瞬間はするっと抜けて立ち上がった


 「ありがと、何か機会があったらお願いするわ。」


 はフレッドの隣で不機嫌そうに座っているロンの手をとった


 「早く授業行こっ。」

 「あ、え?」


 突然に手を握られたロンはほんのり顔を赤くして

 そのまま引っ張られていった






























 「、どこ行くんだよ?授業ないだろ?」


 ロンの問いかけに答えることなくはただひたすら走った

 彼の手を握って


 そしてついたのは広大な庭園


 「2人でここに来たかったの。」

 「何で?」


 はロンの顔を一瞬見るとふわっと笑って前に歩き出した

 それから手を思いっきり広げ風を掴んだ


 まるで彼女自身が風のように思えた


 「だって、ここ素敵だと思わない?」

 「まぁ・・そうだね。」

 「ね。だからさ、一緒に踊ろう?」

 「は?」


 は歌い踊りだした

 そしていつの間にかロンの手をとり一緒に踊っていた





















 「なんかスッキリしたね。」

 「でしょ?すっごく楽しかったわ。」


 2人は草の上に寝転がった










 「私ね、逃げてきたの。」

 「え?」


 しばらくの沈黙の後が話し始めた


 「ほら、私落ちてきたじゃない?つかまってたんだ、天使に。」

 「それって脱獄?!」

 「そう、だから天使たちは今私を探すのに必死なはず。」


 は顔をしかめた


 「何したの?」

 「何もしてないわ。でもあいつらの中では悪魔は存在自体が許されないもの。見つけ次第消去。」

 「そんな・・・。」

 「ロンだって最初私を見たとき怖いって思ったでしょ?」

 「そ、それはそうだけど。」


 はロンの目を見て優しく微笑むと起き上がった


 「悪魔はね、人間を誘惑することが得意なの。その気になれば人も殺させることが出来る。」


 の言葉にロンも起き上がった


 「私がここにいることもいつかばれるでしょ。その前にいっぱい楽しまなきゃね。」


 ロンはから目を逸らした


 「ばれたらどうするの?」

 「もちろん戦うわ。」

 「なら僕も一緒に戦うよ。」

 「何言ってるの!天使に危害を加えることがどれだけの罪になることか。即行あの世いきよ。」


 ロンは息を呑んだ


 「ねぇ、赤い翼って知ってる?」

 「いや。」

 「『堕ちた天使は舞い降りし赤い翼により裁かれる。』」

 「なにそれ?」

 「古くからの言い伝えってやつ。今の天使たちは名だけの天使。だから私たち悪魔はその赤い翼を探してる。」


 の顔は真剣だった


 「・・・。」

 「まぁいるわけないんだけどね。」


 ロンまで暗い表情を見せるので

 けろっとしてはロンに笑顔を見せた

 しかしその笑顔はどこか悲しげだった














 「ねぇ、はここ好き?」


 ロンの質問にはちょっとだけ驚いた


 「うん、ロンやハリーやハーマイオニー、みんな大好きだし。」

 「そっか。」


 の答えに満足したのかロンは小さく笑った









 彼女は綺麗だ

 いつも幸せそうに笑っている

 そして僕はそんな君の魅力にどんどん惹かれていく

 君はいつかいなくなるのに・・・






























 その日ロンはと通じ合えたと思っていた

 しかし次の日の朝にはその考えはなく彼はただイライラしていた


 「クソ、まただ。」


 大広間で朝から独り言をぶつぶつ言うロンをハリーは心配そうに見ていた

 そしてロンの視線の先にはたくさんの男子に挨拶されるの姿


 「お、おはよう。」

 「おはようトーマス。」

 「あ、今日も可愛いね//」

 「またぁ、そんなこと言ったって何にも出てこないよ。」


 はウインクを残していく

 大体の男はこれでノックアウトだ

 それがロンは気に入らないようだ


 「おはよう、ロン、ハリー、ハーマイオニー。」

 「「おはよう、。」」


 ハリーとハーマイオニーは笑顔で挨拶を返した

 しかしロンはむすっとしたままと目を合わせようともしなかった


 「どうしたの、ロン?」


 は心配そうに首をかしげた


 「今はそっとしておいて。」


 ハリーが小声で言った

 そのことでさらに腹を立てたロンはぷりぷりして出て行った

 ハリーはロンを追っていった



























 「なんだよ、あいつは。」

 「どうしたんだよロン。」


 ロンはハリーのほうを振り向きもせずすたすたと歩いた


 「は誰にでも愛想振りまいて・・・やっぱりあいつは悪魔だ。」

 「はぁ、君それ本気で言っているのかい?」

 「何かおかしいか?」


 ハリーはくすっと笑った


 「な、なんだよ!!」

 「ロン、よくのこと見てる?」

 「み、見てるよ。」

 「は君以外みんなスルーじゃないか。」

 「へ?」


 ロンはつい間抜けな声を出した


 「と手をつないだり踊ったり、そんなことしてるのは君だけだよ。」

 「・・・・・・・。」

 「みんながロンに気があるの知ってるのに当の本人が知らないとは。」

 「そんな・・だって。」


 ハリーはため息をついた

 ロンは驚きとともに悲しみさが込みあがってきた


 「でも、俺だってのこと好きだけど・・・。」


 ロンは俯いた

 その目にはうっすらと涙がたまっていた


 「別れるのが怖い?」


 ロンは黙ったまま頷いた

 そして昨日と話したことをハリーに話して聞かせた






 「そっか、でもなら何とかやれると思う。今は楽しまなきゃ。」

 「うん、ハリー。」


 ロンはハリーにその思いをぶつけた








 嬉しいよ

 でもそれ以上に淋しいさ

 やっぱり聞かなきゃよかったかな

 もう忘れられないじゃないか・・・






   めにゅ                                          次