悪魔

 人々を誘惑し陥れる

 暗黒 恐怖 堕落 これが彼らの代名詞

 そんな悪魔の一人が少年の下へと舞い降りた





 ヲスルコト




 「ハグリッド。」

 「おぉ、きたか。」


 急にハグリットに呼ばれたロンはひっそりと急いでハグッリッドの小屋にきた


 「ハリーとハーマイオニーは?」

 「ハリーはクイディッチの練習でハーマイオニーは宿題が終わり次第来るって。」

 「そうか。まぁ先は入れや。」


 ハグリッドは顎でしゃくってロンを中へ入れた






 「ハ、ハグリッド・・・これは。」


 中に入ってすぐロンの目に入ったのは血が滲み出ている包帯をあちこちに巻いていて

 黒い翼を持った少女が俯いたまま座っていた


 「こいつはな、今朝早くそこの森に落ちてきよったんよ。」

 「落ちてきたって・・。」

 「あぁ、お前さんの考えてる通りだ。よぉし、そろそろ血も止まってきただろ。」


 ハグリッドが少女に近付き包帯を取り替えようとしたとき少女は顔をあげロンを見た

 その目は闇に染まっていて冷たかった


 「何で助けるんだよ。悪魔だぜ。」


 ロンはその目に怯えていた

 そんなロンをハグリッドはまっすぐ見つめた


 「じゃあこのまま見殺しに出来るか?」

 「それは・・・。」

 「じゃあ手伝え。」


 初めは近付くのも恐る恐るだったロンも段々と馴れてきてハグリッドと一緒に少女の手当てをした

 よく見ると真っ白な肌で顔立ちの綺麗な子だった


 しばらくしてハリーとハーマイオニーが小屋に来た

 ハーマイオニーはその悪魔を見るなり手で口を押さえて明らかに驚いている様子だった












 「あいつの傷なんだが・・・。」


 悪魔の少女が寝静まりみんなが落ち着いたころハグリッドが話し始めた


 「落ちたからってついた傷じゃねぇ。」

 「え?」

 「切り傷、刺し傷、打身だらけだ。しかもどれも深い。森に落ちただけでこうはならねぇ。」

 「そうね。それになぜ悪魔が瀕死の状態で落ちてきたのかわからないわ。」


 ロンはじーと悪魔を見た

 確かに彼女の手当てをしたときに見たのは深い傷ばかりだった


 するとロンの視線に気付いたのか少女が目を覚ました


 「もう大丈夫なのか?」

 「・・・・・・・・。」


 ハグリッドの問いかけに答える答えることなくただ一瞬ハグリッドを見つめ深く息を吸ってから

 自分のけがをした箇所をすっと手で撫でた


 「自力で直せるんだ。」

 「本で読んだわ。それなりの力がある悪魔は自分の傷を自分で癒し・・・。」


 ハーマイオニーは途中で口をつぐんだ


 「それで?」

 「その傷を人にだって移せる。」


 それを聞いた瞬間ハリーとロンはお互いに目をあわせ顔を引きつらせた


 「そんなことしないよ。」


 可愛らしい澄んだ声

 その声の元に一斉に視線が集まる


 「さっきまでは自分でも治せないくらい落ちてたんだ。助けてくれてありがとう。」

 「あぁ、どうだ調子は?」


 ハグリッドは勇敢にも少女に話しかけた

 少女は漆黒の羽を動かそうとした


 「うーん。身体は平気。だけどまだ飛ぶのは無理だなぁ。」

 「そうか、じゃあ一時ここにいるとええ。ダンブルドアに話さなきゃな。」


 それからみんなでダンブルドアのところへ行った

 彼はその悪魔を見るなり優しく笑った


 「こいつを少しばかりここにおいてやってほしいんだが。」


 ハグリッドは様子を窺いながら話した


 「ふむ、悪魔と人間の共存は難しい。我々人間は悪魔を恐れておる。皆に自分が悪魔だということを明かさずにいられるかな?」

 「まあ、言わないようには出来るけど私は自分ではこの羽は消せないの。」


 それを聞いたダンブルドアはたくさんの物が積んである棚から一つの腕輪を持ってきた


 「これをつければあなたの羽は消えよう。また悪魔独特の力も失う。つまりあなたは悪魔ではなくなるということになる。」

 「悪魔じゃない・・・うん、いいよ。そのほうがここにいることもばれないわけだし。」


 悪魔は軽く承諾しその腕輪をはめた

 その瞬間彼女の背中の羽がすっと消えた


 「なんか不思議な気分。」


 人間(仮)になった少女はくるっと一回りして笑った

 まるで好奇心に見溢れた子供のように


 「みんないろいろとありがとう。名前言ってなかったね、って言うの。覚えてね。」


 こうして悪魔と人間の生活が始まった





          めにゅ